2018

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31

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2018年の終わりに本を振り返る

今年もご来訪ありがとうございました。
気付けば年末、早いものです。

2018年の一押し:革命前夜.須賀しのぶ
空気の重さと終わり方がもうこれ以上はありません。




2018年の短編推し:義父のヅラ.奥田英朗
青春時代の素晴らしさと言いますか、あれだけ滅茶苦茶にして綺麗に終われるって名医ですね。




2018年のシリーズ推し:
キネマ探偵カレイドミステリー再演奇縁のアンコール輪転不変のフォールアウト.斜線堂有紀
主人公が予想以上に個性的で肝が据わっていました。

  


2018年最初に読んだ本:ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人.中山七里




2018年最後に読んだ本:君の隣に.本多孝好

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2018

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君の隣に.本多孝好



アヤメ/吉田/星野/満村/坂巻/豊

デリヘル・ピーチドロップスのオーナーである大学生の早瀬。彼は退職した刑事から、ある期間内に無店舗型性風俗店の女性従業員が客に呼ばれたまま行方不明になっている地域について、定期的に情報を仕入れていた。一方、小学4年生の夏から急に明るくなった少女・翼は、一日だけ恋人の振りをして欲しいと幼馴染に頼むのだった。

良い悪いは別にして、頭も良く意思も強く何かを成すために具体的な行動に移せる人の話です。各話の視点人物が違うので、初めは話がどこに向かっているのか全くわかりませんでした。いや、最後までわかりませんでした。

2018

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十五年目の復讐.浦賀和宏



スミレ色の手紙/生まれなかった子供たち/月の裏文明委員会/十五年目の復習

殺人事件の犯人として逮捕されたミステリ作家の西野冴子。それは「作家 西野冴子の真実」を書いたノンフィクション作家・泉堂莉菜が仕組んだ巧妙な罠だった。冴子の従弟を、担当編集者を、何の接点もない主婦を操る莉菜は、なぜ標的に冴子を選んだのか。敵対するフリーライターの桑原銀次郎は、莉菜の罠を暴くために彼女に操られた彼らにインタビューを始めるのだが、莉菜は即座に反応する。

各話のプロローグに冴子の語りが入ります。「Mの女」ではわからなかった、従弟や編集者が何故あの行動を起こしたのかが書かれています。しかし、莉菜が何故か冴子を嵌めたのかがわかりません。読み飛ばしてしまったのか書かれていなかったのか。。。エピローグの銀次郎が秀逸です。

リンク情報:Mの女.十五年目の復讐.

2018

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雪山の檻.周木律



ノアの方舟調査隊の殺人

創世記、ノアの方舟が辿り着いたとされる現トルコ共和国の東端アララト山。海抜5000メートルを超えるこの山の頂上近くに衛星写真が捉えた人工物を探索するため、考古学者を中心にポーターも含めた8人の調査隊が組まれた。高地順応の最中、資金提供を受ける財団から派遣された考古学者が滑落死する。そして悪天候の中、第二キャンプに足止めされた調査隊は殺害されていく。

忘れることがないという驚異的な記憶力を持つ一石が、もう語る語る語る。途中で対象の名前を呼びながら語るのも共通点がありますね。堂シリーズも語ってはいますが、数学の合間に警察も入るので全体の三分の一もないと思います(個人の感想です)。こちらは閉じられた場所であることと扱うものが違うことなどもあり、半分以上は一石が語っている気がします。

アールダーの方舟の改題
森園アリス:プロジェクトの記録をするフォトグラファー
一石豊:プロジェクトの鑑定家として参加する、万能の天才ともいえる数学者

シリーズ情報:雪山の檻.

2018

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財務捜査官岸一真.宮城啓



マモンの審判

ロンドン、投資銀行や証券会社が多く入るSOLビルの爆破事件で、岸は友人の打田を失った。その痛みを引きずる岸に警察庁に出向し、巨額のマネーロンダリング事件を捜査するという依頼がきた。一度は固辞した岸だったが、捜査は打田の死にも繋がっていく。

岸は、警視庁から出向している石田といいタッグを組んで捜査を進めていきます。出向者の集まりなので軋轢があるのかと思いましたがそこはなく、ややこしいマネーロンダリングのカラクリを追うことだけに頂点が絞られていて、スッキリ読めました。

シリーズ情報:マモンの審判.

2018

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天使のナイフ.薬丸岳



妻が殺害され、生後5ヶ月の娘と残された桧山貴志。だが、警察に保護されたのは刑事責任を問うことのできない13歳の少年達であった。四年後、少年Bが桧山の職場近くで殺害される。それを機に少年達のことを調べ始めた桧山の行動をなぞるように少年達が襲われていく。やがて、妻が残した天使のモチーフの万華鏡の意味するもの、殺害される直前に妻の口座から下された500万円の意味するものが、事件を追う桧山の前に現れる。

デビュー作というか応募作に選ぶには重い重いテーマであると勝手に思いますが、それが偏らず滞らず進むので引き込まれていきます。桧山のカフェのバイト福井健、ノンフィクションライターの貫井哲郎、どちらの事件も担当する埼玉県警の三枝利幸、彼ら脇を固める人物も魅力があります。あ、もしかして全ての人物がフルネームで登場しているのではと、ここで気付きますが確かめるのは。。。

第51回江戸川乱歩賞受賞作

2018

12

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教会堂の殺人.周木律



Game Theory
2007

伽藍堂の事件に関わった数学教授と新聞記者、彼らが相次いで死体で発見された。宮司は彼らが命を落とした教会堂に向かう。善知鳥神、百合子も続けて教会堂を訪れ、そこで展開する死のゲームに自らの命を賭けていく。真理を知りたければ人は常に賭けをしなければならない。そして、十和田。彼は教会堂の守り人と名乗る。

衝撃の終わり方です。ここまでする必要があるのか、数学って恐ろしいと思います。。。ワタクシ如きには最後が全く読めないのですが、願わくばまたお会いしたい。

十和田只人:放浪の数学者
善知鳥神:天才数学者
宮司司:警察庁刑事局警視
宮司百合子:その妹、大学院生

沼四郎:建築家、初作では驫木煬
藤衛:天皇と称される数学者

堂シリーズ情報:眼球堂の殺人双孔堂の殺人五覚堂の殺人伽藍堂の殺人.教会堂の殺人.

2018

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ギブ・ミー・ア・チャンス.荻原浩



探偵には向かない職業/冬燕ひとり旅/夜明けはスクリーントーンの彼方/アテンションプリーズ・ミー/タケぴよインサイドストーリー/リリーベル殺人事件/押入れの国の王女様/ギブ・ミー・ア・チャンス

浦浜市役所商工観光課観光係に勤務する相沢は、浦浜市のイメージキャラクター・タケぴよの着ぐるみを着てイベントに出される事になった。動き慣れない着ぐるみで転倒したのが大ウケし、他のイベントからも次々と依頼がきて引っ張りだこになってしまう。人に笑われることが苦手な相沢が、徐々に変わっていく。(タケぴよインサイドストーリー、より)

自分が変われば世界が変わる、この典型のような話でした。付き添いで同行している秋津と「空気を読むな、空気を乱せ」という戦略を立て、驀進し始めます。芸人だったり歌手だったり、不器用で諦めの悪い人たちの短編集。あれ、タケぴよは?この人こそ一番清々しく変わったかもです。

2018

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05

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モニター越しの飼育.大石圭



加納凜は美しいが厳しい躾が身についており、薄化粧に地味な服装で常に教壇に立っていた。そんな凜の気晴らしは毎週末の夜に濃い化粧を施し、エロティックな下着を身に付けた自分の姿を撮影することが密かな楽しみだった。だが、その写真を「鈴木」と名乗る人物が盗み出し、自分のために毎週これらの写真を送り続けなければ写真をバラまくとメールしてきたのだ。悩んだ末に凜は鈴木に従うことになる。

題材はまさにネットの恐ろしさですが、モニター越しに誰かを飼育するという表題から勝手に解釈した話ではなかったです。ただ、凜は名の現す通り凜でした。悩みに悩み、後悔もします。今までの生活も失うことになるのでしょうが、最後は強い女性でした。

2018

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02

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ハーフウェイ・ハウスの殺人.浦賀和宏



ハーフウェイ・ハウスで暮らすアヤコ。そこは森を切り開いた土地に建てられた、22人の生徒と3人の教師が共同生活を送る学校。アヤコの元に腹違いの兄だという健一が現れ、ハーフウェイ・ハウスの果てとも言えるフェンスをアヤコは健一と潜ってしまう。だが、アヤコが気付いたのは部屋の「ベット」であった。やがて教師が続けて殺害される。

アヤコとか健一とか、名前を見る度に他のシリーズやあの会社に関連しているのでは?と疑ってかかってしまいます。しかも基本のモチーフは同じなのであれの先だがあれが先だか悩みますが、残念ながら記憶がありません。大筋の展開にどう絡むのか、楽しみにしています。

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