2019

07

30

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サスツルギの亡霊.神山裕右



子連れ同士の再婚で兄弟となった篠田英治と矢島拓海。母に続き父が亡くなったことを機に疎遠になった。研究者として隕石調査隊に加わった南極で行方不明となった英治。その2年後、カメラマンの拓海の元に英治の死の真相が知りたければ南極に行けというメッセージと、同時期に越冬隊の密着撮影の仕事の依頼が舞い込む。偶然か、何かの始まりなのか。参加を決意した拓海に危険が迫る。

拓海はなぜ英治と疎遠になったのか、英治の行方不明の真相は何なのか。それらが絡み合いながら、南極という陸の孤島で次々と事件が起こります。ただでさえ過酷な環境なので緊迫感があります。乗り越しを心配しながら読み進めた後、サスツルギって何?と我に返りました。
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2019

07

12

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ふりむけばそこにいる.久賀理世



奇譚蒐集家 小泉八雲 罪を喰らうもの

名もなき残響/Heavenly Blue Butterfly/罪を喰らうもの

始まりは4日前、オーランドは雑木林に少年を見た。その少年は子供時代のオーランドそのもので日々成長していき、明日には現在の自分と瓜二つな姿で現れる恐れがあった。学寮の同室であるパトリックに相談するも、自分があちら側のものと気付きもしないで関わっている事実を突きつけられる。(名もなき残響、より)

もっと色々展開があり感動の一編なのですが、書きすぎると差し障るので。本作ではオーランドとパトリックが友情を育み、時に支え合っていく姿が書かれています。自分だけが視える自分だけが聴こえる、だと辛い時もあります。それが共有出来ることがお互いにとって得がたいことのようです。

オーランド・レディントン:聖カスバート校編入生、訳あってチェロをやめている
パトリック・ラフカディオ・ハーン:
聖カスバート校変わり者の神学生、オーランドにパトリキオス・レフカディオス・ハーンと名乗る
ジョージ・ロバート・ハーン:パトリックの兄

シリーズ情報:ふりむけばそこにいる.罪を喰らうもの.

2019

06

29

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アリス殺し.小林泰三



栗栖川亜理は不思議の国の夢ばかり見ることを自覚、夢の内容を書いておくことにした。『こんな夢を見た。白兎が走る。蜥蜴のビルに「スナークはブージャムだった」という合言葉を聞く。ハンプティ・ダンプティ殺害される』亜理が大学の研究室に着くと王子玉男が墜落死したことを知る。夢で死ぬと現実でも死んでしまう?その後も夢と現実がリンクするように事件が相次ぐ。夢の国のアリスは三月兎と帽子屋から1週間の猶予を貰い、自分の容疑を晴らそうとするが極力してくれる井森健は現実では頭が切れるのだが夢の国では記憶力がほぼない。亜理はアリスを救えるか?

「不思議の国のアリス」のキャラクターが登場し、あの不条理な会話が本家さながら展開されて笑えます。そして蜥蜴のビルがいい味を出しています。現実では頭が切れて頼りになりますが、夢では誰もが仕方ないと脱力する程記憶力がないのです。井森と現実で打ち合わせしても夢に持ち込めないんですよね。それが笑えます。笑えますが、殺害方法はエグいですし最後ヤラレますし、侮れません。

2019

04

15

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かにみそ.倉狩聡



かにみそ/百合の火葬

流星群の翌朝、蟹を見つけた。手を差し伸べると掌に乗って来たので飼うことにした。蟹は何でも食べ、新聞を読み、言葉を操る。ある日、女を殺害してしまい蟹に食べるか尋ねたところ「じゃ、遠慮なく」と食べ始めた。それから毎夜、捕食のために蟹を町に連れ出すことになった。(かにみそ、より)

人間を食べ始めた蟹をどうするのか。当初、主人公は蟹が捕食をするところを見るのか楽しみでした。蟹との友情を育みながら捕食を手伝う日々ですが、ある事を機に主人公は変わっていきます。そして最後に行き着くところは、しんみりです。

第20回日本ホラー小説大賞 優秀賞受賞作

2019

01

19

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瑕死物件.櫛木理宇



コドモの王国/スープが冷める/父帰る/あまくてにがい/209号室のアオイ

サンクレール407号室に引っ越してきた奈緒。3歳になる息子・雄斗が209号室に住んでいる葵を連れて来た日を機に、葵は家に入り浸り雄斗ばかりか夫までが葵と遊ぶだけになる。3人の子供を抱えるような生活に奈緒は疲弊していく。(コドモの王国、より)

209号室に住むという葵が、一話毎それぞれの家庭を侵食していきます。葵は一体誰なのか何故209号室に住んでいるというのか。徐々に明らかになる過去は切ないものでした。一話毎に視点人物が変わります。

2019

01

10

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告知.久坂部羊



綿をつめる/罪滅ぼし/告知/アロエのチカラ/いつか、あなたも/セカンド・ベスト

在宅医療専門のあすなろクリニックは2名の医師と3名の看護師、1名の事務で構成されている。看護師の中嶋は4月に来たばかりの医師・三沢と末期がん患者の初診訪問をした。三沢の初めての看取りに時に突っ込み時に見直しながら、患者だけではなく家族に心を向けていく。(綿をつめる、より)

看護師の中嶋を視点人物にした連作短編集です。死後処理も詳細に淡々と書かれており、これは筆者は医療者なのではと思ってしまう展開です。あとがきから拾うと、外科医から在宅医療まで経験された医師で本書はほぼ全て実話に基づいているとのことでした。「いつか、あなたも」は想像とは全く違うエグい話でした。。。

2018

11

20

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感染領域.くろきすがや



帝都大学の植物病理学者・安藤は農林水産省の依頼で九州に向かった。葉や茎が緑退赤変するトマトの枯死が発生していた。現地調査後、トマトを主力とする農業研究施設の友人が変死し、彼の研究の引き継ぎを依頼される。その研究は熟さない新種のトマトkaglaだった。原因ウイルスの分析が進む中、安藤自身もkaglaの苗木を狙う男達に襲われる。ウイルスの被害を止めることが出来るのか、kaglaは何故狙われるのか。

個人的には話の流れや終わり方の後腐れなさが好きです。菅谷淳夫・那藤功一両氏による作家ユニットとのことで、それ故の綺麗な落としどころなのかと勝手に思っています。デビュー作で受賞とか天才なのかと思うのですが、最初からそれくらい書けないとデビュー出来ないとも言えるのか、世の中そんなことも多いですよね。ウイルスなど専門的な言葉も出ますがレトロウイルスの説明もわかりやすいですし、問題なく読めるのではないでしょうか。

2018年・第16回「このミステリーがすごい! 大賞」優秀賞受賞作

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