2009

06

01

コメント

重力ピエロ.伊坂幸太郎



春が二階から落ちてきた。大事な時には兄貴がいたから、いないと不安なんだよ。

泉水は遺伝子情報の会社に勤務している。弟の春から 「兄貴の会社が放火に遭うかも知れない」 と留守電に伝言があった翌日、会社が放火された。春は、仙台の街で起きている連続放火事件と、現場近くの壁に落書きされた文字にはルールとリンクがあるという。それを発見したと‥‥文字の謎を解き、次の放火を阻止しようと推理する父親と泉水と春。その一方で、泉水も春も家族の過去に関わる、ある計画を実行しようとしていた。

CMで上記の台詞が印象的な、公開中の映画の原作本です。兄・泉水の視点で家族の過去や現在を語ります。父親・泉水・春の三人がそれぞれに放火事件の謎を解き、それぞれが真相に辿り着きます。その過程は実に面白く、時に遺伝子の配列記号や英文読解が出現し、作家って頭が良くないとなれなんだなーと感嘆してみたり。作品中に、この家族の姓が出てこないのは、どんな仕掛けなんだと考えてみたり。映画のCMの台詞は、二重に意味を感じるなと唸ってみたり。相変わらず、黒澤がカッコ良かったり。あ、伊藤も登場します。リンクで色々楽しめ、テーマでは考えさせられる一冊です。
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